図形と方程式・交点・2つの円の交点を通る円

てんびょう

絵の描き方には、てんびょうというものがあります。大量の点で絵を描くというものです。

下に挙げた動画では、実際に点描をしている様子を見ることができます。

「図形と方程式」とてんびょう

次の2つは、同じことを言っています。

  • $xy$平面上で、ある図形の式は$f(x,y)=0$と表される。
  • 方程式$f(x,y)=0$の解を座標とする全ての点を$xy$平面上に点描すると、ある図形になる。

例えば、次の2つは、同じことを言っています。

  • 中心$(1,2)$、半径$3$の円の式は\[(x-1)^2+(y-2)^2=9である。\]
  • 方程式$(x-1)^2+(y-2)^2=9$の全ての解を$xy$平面上にてんびょうすると、中心$(1,2)$、半径$3$の円になる。

多くの場合、方程式の解は無限にあります。つまり、点が無限にあるということです。そのため、実際にてんびょうをすることはできません。しかし、図形が大量の点でできているということは、知っておかなければなりません。

連立方程式の解と交点

連立方程式の解は、2つ以上の方程式の共通解を意味します。

連立方程式 $\begin{cases} (x-1)^2+(y-2)^2=9\\ (x+1)^2+(y+1)^2=4\\ \end{cases}$ の解は、\[方程式(x-1)^2+(y-2)^2=9と\]\[方程式(x+1)^2+(y+1)^2=4\]が共有する解です。

この共通解が表す点は、$図形(x-1)^2+(y-2)^2=9$をてんびょうするときに打ちます。また、$図形(x+1)^2+(y+1)^2=4$をてんびょうするときにも、打ちます。

そのため、2つの図形をてんびょうしたときには、図形がその点で重なるということになります。

2つの円の交点を通る円

3点を通る円

円の式は、$x^2+y^2+ax+by+c=0$で表されます。

これに同一直線上にない3つの異なる点の座標を代入すると、$a、b、c$の3つの方程式ができます。その方程式を連立方程式として解くと、解が1つに定まります。

3つの点を通る円は、1つしかありません。そのため、3点を通る円の方程式を1つ見つければ、他にはないと言えるということになります。

共有点と他の1点を通る円

円$x^2+y^2=4$と円$(x-2)^2+(y-2)^2=4$の2つの交点と$(8,6)$を通る円の式を求めます。

$f(x.y)=x^2+y^2-4$、$g(x,y)=(x-2)^2+(y-2)^2-4$とします。

2円の中心の距離は$2\sqrt2$で、$0\lt2\sqrt2\lt4$から、2円には交点が2つ存在します。その交点を$(\alpha,\beta)$、$(\gamma,\delta)$とします。

次の式が成り立ちます。 \[f(\alpha,\beta)=f(\gamma,\delta)=0\] \[g(\alpha,\beta)=g(\gamma,\delta)=0\]

定数$\ell$と$m$を用いて、$h(x,y)=\ell f(x,y)+m g(x,y)$とします。

すると、次の式が成り立ちます。 \[h(\alpha,\beta)=\ell f(\alpha,\beta)+m g(\alpha,\beta)=0\] \[h(\gamma,\delta)=\ell f(\gamma,\delta)+m g(\gamma,\delta)=0\]

したがって、方程式$h(x,y)=0$の解を点描してできる図形は、$(\alpha,\beta)$、$(\gamma,\delta)$を通ります。

さらに、$h(8,6)=0$となれば、方程式$h(x,y)=0$の解を点描してできる図形は、$(\alpha,\beta)$、$(\gamma,\delta)$、$(8,6)$のすべてを通ることになります。

$h(8,6)=\ell f(8.6)+mg(8,6)=96\ell+48m=0$から、$m=-2\ell$となります。

$\ell=0$とすると、任意の$x$と$y$に対し、$h(x,y)=0$となってしまいます。つまり、座標平面上のすべての点を点描することになります。

円の式を探しているので、$\ell\neq 0$とします。すると、求める式の候補は、$h(x,y)=0$の両辺を$\ell$で割ったもの、つまり、$f(x,y)-2g(x,y)=0$となります。

$f(x,y)-2g(x,y)=0$を計算すると、\[x^2+y^2-8x-8y+12=0です。\]これは、円の式です。

3点を通る円は1つしかありません。他にも式があるのではないかと心配する必要もありません。