目次
第1問
(1)
$\displaystyle\sum_{n=2}^{10}111_{(n)}$は、10進法で \[\begin{aligned} &\sum_{n=2}^{10}(n^2+n+1)\\ =&\sum_{n=1}^{10}(n^2+n+1)-3\\ =&\dfrac{10\times 11\times 21}{6}+55+10-3\\ =&447 \end{aligned}\]である。
$447=3\times 5^3+2\times 5^2+4\times 5+2=3242_{(5)}$である。
(2)
「$0$の次数は定義されない」ということを前提に書いてあります。
$h(x)=f(x)-g(x)$とする。$0$以上$n$以下の任意の整数$k$に対し、$h(x_k)=0$である。
$h(x)\neq0$とすると、$h(x)$は、$n$次以下の多項式である。その次数を$m$とする。
$m=0$のとき、$h(x)$は定数である。$h(x_0)=0$から、任意の$x$に対し$h(x)=0$となり、矛盾する。
$1\leqq m\leqq n$のとき、因数定理から、ある定数$a$に対し\[h(x)=a(x-x_0)(x-x_1)\cdots(x-x_{m-1})\]となる。
\[h(x_n)=a(x_n-x_0)(x_n-x_1)\cdots(x_n-x_{m-1})=0\]である。$m-1\lt n$から\[(x_n-x_0)(x_n-x_1)\cdots(x_n-x_{m-1})\neq 0\]である。よって、$a=0$となる。
これは、$h(x)\neq0$に矛盾する。
よって、すべての実数$x$に対し、$h(x)=0$、つまり$f(x)=g(x)$となる。
(3)
ここまでやらなくても大丈夫だと思います。
導関数の存在について
$a(x)$、$b(x)$は、ある開区間で定義された微分可能な実数値関数とする。
$b(x)$が狭義単調であり、$a\circ b(x)$のように合成することができるなら、\[\dfrac{a\circ b(x+h)-a\circ b(x)}{h}=\dfrac{a\circ b(x+h)-a\circ b(x)}{b(x+h)-b(x)} \cdot\dfrac{b(x+h)-b(x)}{h}\]から、$a\circ b(x)$は微分可能である。
また、\[\dfrac{a(x+h)b(x+h)-a(x)b(x)}{h}=\dfrac{a(x+h)\{b(x+h)-b(x)\}+b(x)\{a(x+h)-a(x)\}}{h}\]から、$a(x) b(x)$は微分可能である。
$x\lt 0$、$x\gt 0$のそれぞれで$\dfrac{1}{x}$は狭義単調かつ微分可能である。よって、$\cos\dfrac{1}{x}$は微分可能である。$f(x)$は$x\neq 0$で微分可能である。
$x=0$での微分可能性について、\[\dfrac{f(h)-f(0)}{h}=h\cos\dfrac{1}{h}\]となる。\[\left|h\cos\dfrac{1}{h}\right|\leqq |h|\]から、はさみうちの原理によって\[\displaystyle \lim_{h \to 0}\left|h\cos\dfrac{1}{h}\right|=0\]である。よって、$\displaystyle \lim_{h \to 0}\dfrac{f(h)-f(0)}{h}=0$であり、$f(x)$は$x=0$で微分可能である。
結局、任意の$x$に対し、$f(x)$は微分可能である。
$f'(x)$の連続性について
$x\neq 0$のとき、 \[\begin{alignedat}{2} f'(x)&=2x\cos\dfrac{1}{x}+x^2\cdot x^{-2}\sin\dfrac{1}{x}&\\ &=2x\cos\dfrac{1}{x}+\sin\dfrac{1}{x}&となる。 \end{alignedat}\]
$\displaystyle\left|x\cos\dfrac{1}{x}\right|\leqq |x|$から、はさみうちの原理により$\displaystyle \lim_{x \to 0}2x\cos\dfrac{1}{x}=0$である。
また、任意の整数$n$に対し、\[x=\dfrac{2}{(4n+1)\pi}のとき\sin\dfrac{1}{x}=1であり、\]\[x=\dfrac{2}{(4n-1)\pi}のとき\sin\dfrac{1}{x}=-1である。\] \[\lim_{n\to\infty}\dfrac{2}{(4n+1)\pi}=\lim_{n\to\infty}\dfrac{2}{(4n-1)\pi}=0から、\] $x\gt0$のとき、どんなに$x$が小さくても、$\sin\dfrac1{x}=1$となる$x$と$\sin\dfrac1{x}=-1$となる$x$が存在する。
よって、$f'(x)$は、$x\rightarrow +0$で収束せず、$x=0$で連続でない。
$x\neq 0$では、連続である。
(4)
(2024/8/11)4の目が出る場合がすべて抜けていたのを訂正しました。
$X$の素因数は、$2$、$3$、$5$である。$0$以上の整数$n_2$、$n_3$、$n_5$に対し、$X=2^{n_2}3^{n_3} 5^{n_5}$となる。
このとき$X$の正の約数の個数について、\[(n_2+1)(n_3+1)(n_5+1)=6\]となればよい。
$n_2$、$n_3$、$n_5$のうち、$2$つが$0$で、$1$つが$5$であるとき、$X=2^5,3^5,5^5$となる。
また、$n_2$、$n_3$、$n_5$に$0$、$1$、$2$が1つずつあるとき、\[X=2\cdot 3^2,3\cdot 2^2,2\cdot 5^2,5\cdot 2^2,3\cdot 5^2,5\cdot 3^2\]となる。
$3^5,5^5$となるのはそれぞれ$1$通りで、合わせて$2$通り。
$X=2^5$となるのは、2が5回出る。または、1が1回、2が3回、4が1回出る。または、1が2回、2が1回、4が2回出る。この場合の数は、\[1+_5P2+5\cdot _{4}C_2=51通り。\]
$X=2\cdot 3^2$のとき、1が2回、2が1回、3が2回出る。または、1が3回出て、6と3が1回ずつ出る。この場合の数は、\[5\cdot _4C_2+_5P_2=30+20=50通り。\]
$X=3\cdot 2^2$のとき、4が出ないのは、$50$通り。3と4が1回ずつ出るのは$_{5}P_2=20$通り。合わせて$70$通り。
$X=5\cdot 2^2$となるのは、1が2回、2が2回、5が1回出る。または、1が3回出て、4と5が1回ずつ出る。この場合の数は、\[5\cdot _4C_2+_5P_2=30+20=50通り。\]
$X=2\cdot 5^2,3\cdot 5^2,5\cdot 3^2$となるのは、\[3\cdot 5\cdot _4C_2=90通り。\]
求める場合の数は、$2+51+50+70+50+90=313$通り。
第2問
(1)
D(6,6)、E(-2,6)。
Tの式は$(x-\sqrt5)^2+(y-3)^2=9$。
(2)
辺DEは平面$x=4$と直交する。よって、$\triangle\mathrm{ADE}$を辺DEを軸に回転させるとき、点Aは常に平面$x=4$に含まれる。
また、AとDEとの距離は$6$である。
よって、Aの軌跡は円$\begin{cases} x=4\\ (y-6)^2+z^2=36 \end{cases}$となる。
$\mathrm{A}=\mathrm{H}$となりうるためには、Hがこの円周上にあることが必要十分である。
$\mathrm{DA}=2\sqrt{10}$、$\mathrm{EA}=6\sqrt2$である。この円は、Dを中心とする半径$2\sqrt{10}$の球とEを中心とする半径$6\sqrt2$の球のすべての共有点である。
よって、求める必要十分条件は、$\mathrm{DH}=2\sqrt{10}$かつ$\mathrm{EH}=6\sqrt2$。
(3)
(2)よりGは、円$\begin{cases} x=4\\ (y-6)^2+z^2=36 \end{cases}$の周上にある。
よって、Gの座標を$(4,a,b)$とする。ただし、$a$、$b$は、 \[(a-6)^2+b^2=36\cdots ①\]を満たす実数である。
四面体が成立するには、$\mathrm{BF}=\mathrm{CF}$が必要である。Fは$xy$平面上で線分BCの垂直二等分線$x=0$上にある。この直線と円$T$との交点の座標は$(0,5,0)$、$(0,1,0)$である。
Fが$(0,5,0)$のとき、$\mathrm{GF}=\mathrm{BF}=\sqrt{89}$である。よって、\[16+(a-5)^2+b^2=89\]つまり\[(a-5)^2+b^2=73\]となる。①より、$a=24$、$b^2=36-18^2\lt 0$となり不適。
Fが$(0,1,0)$であるとき、$\mathrm{GF}=\mathrm{BF}=\sqrt{65}$である。よって、\[16+(a-1)^2+b^2=65\]つまり\[(a-1)^2+b^2=49\]となる。①より、$a=\dfrac{24}{5}$となる。
\[\begin{aligned} & \left(\dfrac{24}{5}-6 \right)^2+b^2=36 \\ \iff&\dfrac{36}{25}+b^2=36\\ \iff & b^2=36\cdot\left(1-\dfrac{1}{25}\right)=\dfrac{36}{25}\times 24 \\ \iff & b=\pm \dfrac{12\sqrt{6}}{5} \end{aligned}\]
よって、求める座標は$\left(4,\dfrac{24}{5},\pm \dfrac{12\sqrt{6}}{5}\right)$である。
第3問
(1)
合同式の法を$3$とする。
$x^2$の係数は、\[3k+4{}_kC_2=3k+2k(k-1)\equiv 2k(k-1)\]となる。
よって、求める必要十分条件は$k\equiv 0,1$である。
(2)
合同式の法を$5$とする。
$x^4$の係数は、\[\begin{aligned} & 5k+8_kP_2+9_kC_2 +12_kC_2(k-2)+16_kC_4\\ \equiv &3_kP_2+4_kC_2 +2_kC_2(k-2)+_kC_4\\ =&3k(k-1)+2k(k-1)+k(k-1)(k-2)+\frac{k(k-1)(k-2)(k-3)}{24}\\ =&5k(k-1)+\frac{k(k-1)(k-2)(k+21)}{24}\\ \equiv &\frac{k(k-1)(k-2)(k+21)}{24}\\ \end{aligned}\]
$24$と$5$は互いに素であるから、求める必要十分条件は、\[k(k-1)(k-2)(k+21)\equiv0\]つまり\[k(k-1)(k-2)(k+1)\equiv0\]
よって、求める必要十分条件は$k\equiv 0,\pm1,2$である。
(3)
$a(3,1)=3$
$\left(1+\dfrac{x}{2}+\dfrac{x^2}{3}\right)^2$の展開式の$x^2$の係数は、\[\dfrac{2}{3}+\dfrac{1}{4}=\dfrac{11}{12}である。\]よって、$a(3,2)=12$。
$\left(1+\dfrac{x}{2}+\dfrac{x^2}{3}\right)^3$の展開式の$x^2$の係数は、\[1+{}_3C_2\left(\dfrac{1}{2}\right)^2=\dfrac{7}{4}である。\]よって、$a(3,2)=4$。
(4)
$\dfrac{x^{n-1}}{n}(n=1,2,\cdots,p)$から、重複を許して$k$回選び、その積を求める。積の$x$の次数が$p-1$となるものの係数を考える。
係数の分母が$p$の倍数となりうるのは、$\dfrac{x^{p-1}}{p}$を1回、$1$を$k-1$回選ぶときに限る。その係数の和は$\dfrac{k}{p}$となる。
$\dfrac{x^{p-1}}{p}$を1回も選ばないで得られる係数の総和は有理数であるから、それを既約分数$\dfrac{a}{b}$とする。$p$は素数であるから、$b$は$p$の倍数でない。
$x^{p-1}$の係数は、$\dfrac{k}{p}+\dfrac{a}{b}=\dfrac{ap+bk}{pb}$となる。$k$が$p$の倍数でないなら、$bk$は$p$の倍数でないから、$\dfrac{ap+bk}{pb}$の分子と分母を$p$で約分することができない。
また、$k$が$p$の倍数ならば、$x^{p-1}$の係数の分母は$p$の倍数にならない。
よって、求める必要十分条件は、$k$が$p$の倍数でないことである。
第4問
P、Qの座標は、それぞれ$\left(6\cos\dfrac{t}{2},6\sin\dfrac{t}{2}\right)$、$\left(2\cos\dfrac{3t}{2},6\sin\dfrac{3t}{2}\right)$である。
(1)
\[ \begin{aligned} f(t)=&\dfrac{3}{2}\cos\dfrac{t}{2}+\dfrac{3}{2}\cos\dfrac{3t}{2}\\ =&\dfrac{3}{2}\left\{\cos\left(t-\dfrac{t}{2}\right)+\cos\left(t+\dfrac{t}{2}\right)\right\}\\ =&3\cos t \cos\dfrac{t}2\\ \end{aligned} \] $$
$g(t)=\dfrac{3}{2}\sin\dfrac{t}{2}+\dfrac{3}{2}\sin\dfrac{3t}{2}=3\sin t \cos\dfrac{t}2$
よって、$r(t)=3\cos\dfrac{t}2$とすればよい。
(2)
\[ \begin{aligned} f(t)&=3\cos\dfrac{t}{2}\left(2\cos^2\dfrac{t}{2}-1\right) \\ &=6\cos^3\dfrac{t}{2}-3\cos\dfrac{t}{2} \end{aligned} \] \[ \begin{aligned} f'(t)&=\left(18\cos^2\dfrac{t}{2}-3\right)\cdot\left(-\dfrac{1}{2}\sin\dfrac{t}{2}\right)\\ &=-9\left(\cos^2\dfrac{t}{2}-\dfrac{1}{6}\right)\sin\dfrac{t}{2} \end{aligned} \]
ある実数$\alpha(0\lt \alpha \lt \pi)$に対し、$\cos\dfrac{\alpha}{2}=\dfrac{1}{\sqrt6}$となる。
$f(t)$の増減は、下のようになる。
| $t$ | $0$ | $\cdots$ | $\alpha$ | $\cdots$ | $\pi$ |
| $f'(t)$ | $-$ | $0$ | $+$ | ||
| $f(t)$ | $3$ | $\searrow$ | $-\dfrac{\sqrt6}{3}$ | $\nearrow$ | $0$ |
\[ \begin{aligned} g(t)&=6\sin\dfrac{t}2\cos^2\dfrac{t}2\\ &=6\sin\dfrac{t}2\left(1-\sin^2\dfrac{t}2\right)\\ &=6\left(\sin\dfrac{t}2-\sin^3\dfrac{t}2\right) \end{aligned} \] \[ \begin{aligned} g'(t)&=6\left(1-3\sin^2\dfrac{t}2\right)\cdot\left(\dfrac{1}{2}\cos\dfrac{t}{2}\right)\\ &=9\left(\dfrac{1}{3}-\sin^2\dfrac{t}2\right)\cos\dfrac{t}{2} \end{aligned} \]
ある実数$\beta(0\lt \beta \lt \pi)$に対し、$\sin\dfrac{\beta}{2}=\dfrac{1}{\sqrt3}$となる。
$g(t)$の増減は、下のようになる。
| $t$ | $0$ | $\cdots$ | $\beta$ | $\cdots$ | $\pi$ |
| $g'(t)$ | $+$ | $0$ | $-$ | ||
| $g(t)$ | $0$ | $\nearrow$ | $\dfrac{4}{\sqrt3}$ | $\searrow$ | $0$ |
$f(t)$の最大値は$3$、最小値は$-\dfrac{\sqrt6}{3}$。$g(t)$の最大値は$\dfrac{4}{\sqrt3}$、最小値は$0$。
(3)
$0\lt t\lt \pi$のとき、Rは半径3の円周上の点R’$\left(3\cos t,3\sin t\right)$に対し、OR’を$\cos\dfrac{t}2:\left(1-\cos\dfrac{t}2\right)$に内分する点である。
よって、Cは下図のようになる。ただし、両端を含む。
(4)
$g(t)$の定義域を$[0,\alpha]$、$[\alpha,\pi]$に限定したものをそれぞれ$g_1(t)$、$g_2(t)$とする。$g_1(t)$、$g_2(t)$は、それぞれ$x$の関数となる。
よって、求める面積は、下のようになる。
\[ \begin{aligned} &\int_{-\frac{\sqrt6}{3}}^{3}g_2(t)dx-\int_{-\frac{\sqrt6}{3}}^{0}g_1(t)dx\\ =&27\int_{0}^{\pi}\sin t \cos\dfrac{t}2\left(\cos^2\dfrac{t}{2}-\dfrac{1}{6}\right)\sin\dfrac{t}{2}dt\\ =&\dfrac{27}{2}\int_{0}^{\pi}\sin^2t\left(\dfrac{\cos t+1}2-\dfrac{1}{6}\right)dt\\ =&\dfrac{27}{2}\int_{0}^{\pi}\left(\dfrac{1}{2}\sin^2t\cos t+\dfrac{1}{3}\sin^2t\right)dt\\ =&\dfrac{27}{4}\left[\dfrac{1}{3}\sin^3t\right]_0^\pi+\dfrac{9}{2}\int_{0}^{\pi}\dfrac{1-\cos2t}2 dt\\ =&\dfrac94\pi -\dfrac{9}{4}\left[\dfrac12\sin2t\right]_{0}^{\pi}\\ =&\dfrac94\pi \end{aligned} \]
なお、$\displaystyle \int_{0}^{\pi}\sin^2t\cos tdt$や$\displaystyle\int_{0}^{\pi}\cos2tdt$は、計算しなくても$0$と分かります。いちいち説明するのが面倒なので、建前上、積分の計算をするふりをしています。
(4)
$f(4\pi+t)=f(t)$、$g(4\pi+t)=g(t)$から、$f(t)$、$g(t)$は周期$4\pi$の周期関数である。よって、定義域を$[-2\pi,2\pi]$に制限してもよい。
$f(-t)=f(t)$、$g(-t)=-g(t)$から、Rの軌跡のうち$[-2\pi,0]$の部分と$[0,2\pi]$の部分は、$x$軸に関して線対称である。
$f(2\pi-t)=-f(t)$、$g(2\pi-t)=g(t)$から、Rの軌跡のうち$[0,\pi]$の部分と$[\pi,2\pi]$の部分は、$y$軸に関して線対称である。
よって、点Rの軌跡は(3)の曲線Cを座標軸に関して対称移動させた4つの曲線で構成される。